村上春樹さんといえば、世界的に有名な日本の小説家ですよね。
自分は村上春樹ファンを15年くらいをやっているのですが、いままで生の村上春樹(生春樹)を一度も見たことがないです。
まあ、ファンのほとんどの人が村上春樹さんに会ったことがないかと思います。
ただ、いつかはお会いしたい。
会って挨拶をしてあわよくば、手持ちの本にサインをもらいたい。
そんなふうに考えている方が多いのではないでしょうか(考えていないかもしれない)。
では、どこで村上春樹さんに会えるのか。
たぶんヤクルトスワローズが試合をする神宮球場だと思います。
この記事では村上春樹さんとヤクルトスワローズ・神宮球場についての関係について、そして、村上春樹さんが神宮球場のどこの席でどの時期に何戦を観戦していそうなのかを考察してみたいと思います。
もくじ(各リンクから移動できます)
村上春樹さんと神宮球場の関係
村上春樹さんは子供のころは阪神間に住んでおり、当時は阪神タイガースを応援されていました。
しかし、18歳で上京したときにヤクルトスワローズ(当時はサンケイアトムズ)のファンになると決意されています。
現在、村上春樹さんはヤクルトスワローズの名誉会員で、ずっと神宮球場でヤクルトを応援し続けています。
1970年代、千駄ヶ谷にジャズ喫茶『ピーター・キャット』を開き、お住まいもその界隈だったようです。
神宮球場まで歩いて行けるというのが東京で住まい探しをするときの重要なポイントになる
短編集『一人称単数』内の『ヤクルト・スワローズ詩集』より
というわけで、村上春樹さんは神宮球場へのこだわりが強いです。
現在は、神奈川県の大磯にご自宅があるらしいですが、東京都内にも部屋を別で所有されているでしょう。
そのお部屋はおそらく神宮球場から徒歩圏内の場所なのでしょう。
ちなみに、村上春樹さんはスワローズのホームページにときどきエッセイを寄稿しております。
第1回『球場に行って、ホーム・チームを応援しよう』の文章を引用します。
1978年の初優勝の年、僕は千駄ヶ谷に住んでいて、十分も歩けば神宮球場に行けたので、本当にしょっちゅう野球を見に行きました。
その年、ヤクルトスワローズは球団創設に二十九年目にして、初めてリーグ優勝し(そして日本シリーズも制覇し)、僕は二十九歳にして初めて小説を書き上げました。それが『風の歌を聴け』という小説で、僕はそのときから小説家になったわけです。もちろんただの偶然の一致ですが、それでもちょっとした縁のようなものを感じないではありません。
『風の歌を聴け』といえば、村上春樹さんのデビュー作品ですね。
ヤクルトスワローズが初めて優勝した年に、デビュー作品を書き上げた村上春樹さんにとって、神宮球場はやはり特別な場所なのだと思われます。
神宮球場に行けば村上春樹さんに会える(可能性がある)のか
ヤクルトスワローズのHPに掲載されているエッセイの第6回『そろそろ起きたら』にこんなことが書いてあります。
引用してみます。
このまえ神宮球場でナイター(横浜戦)を見ていて、途中で例によって「神宮ハイボール」を買いに行ったんだけど、そうしたら、小学三年生くらいの男の子がボールとサインペンを持って僕のところにやってきて、「あの、すみません、ここにサインしてくれませんか」と言った。僕もこれまでいろんなものにサインしたことはあるけど(ラップトップの蓋から、手のひらまで)、野球ボールにサインをしたことは一度もない。
この文章は2018年5月11日にヤクルトスワローズのHPにアップされました。
「このまえ」がいつのことなのかは不明ですが、2018年4月のシーズン初めの試合か、2017年シーズンの夏・秋あたりでしょう。
となると、村上春樹さんが神宮球場で野球ボールにサインをしたというこのエピソードはわりと最近のことですね。
やはり村上春樹さんは神宮球場に出没していますね。
村上春樹さんは神宮球場で何戦を観戦しているのか
村上春樹さんは巨人があまり好きではありません。
神戸から上京してきたとき、巨人ではなく、ヤクルト(当時はサンケイアトムズ)を応援することを選んでいます。
巨人は人気球団で、巨人戦は神宮球場の座席が巨人ファンで埋め尽くされることが予想されます。
混雑や人混みが苦手な村上春樹さんはまず、巨人戦の観戦は選ばないだろうと思われます。
同様の理由で阪神戦・広島戦も選ばないような気がします(神宮球場でおこなわれる阪神タイガースや広島カープ戦はそれぞれのファンが神宮球場にけっこう押し寄せる)。
カープのファンってみんな元気ですよね。お好み焼きをよく食べるせいでしょうか。神宮でもスワローズの応援席より、ビジターのカープの席の方がだいたいいつも混んでいます。そんなのってないだろ、と僕は思うんだけど、あるんだよね。
『村上さんのところ コンプリート版』より
つまり、セリーグでヤクルトが対戦する下記の2チームの試合を神宮球場で好んで観戦していそうです。
実際に、ボールにサインをしたエピソードでは「横浜戦」というキーワードが出てきていますので。
2021年10月9日(土)に早稲田大学の村上春樹ライブラリーでおこなわれた『Authors Alive!~作家に会おう~』村上春樹さん×小川洋子さん・・・の朗読会において、最新の村上春樹さんの神宮球場での観戦情報がありました。
下記です。
神宮球場は作品を書く際のインスピレーションもかき立てられる場所のようで、このイベントの後も神宮球場に行くと話されていたのが印象的でした。
『Authors Alive!~作家に会おう~』10月9日 村上春樹さん×小川洋子さん 実施レポート より
このイベントがおこなわれたのは2021年10月9日(土)15時から17時くらいです。その終わりにそのまま神宮球場へ向かわれたようですね。
2021年10月9日(土)は18時プレイボール。ヤクルトスワローズ対阪神タイガースの試合で、2021年シーズンの首位攻防3連戦の2戦目です。
結果は残念ながら1対2でスワローズの負けでした。
村上春樹さんは神宮球場のどこの席に座っているのか
村上春樹さんは神宮球場で観戦する際、応援の傘振りはせず、「東京音頭」は歌わないとおっしゃっています。
ただ、頻繁に神宮球場に通っているということなので、静かで熱心なファンのようです。
下記のような文章を村上春樹さんは書いています。
リアルでクールな村上ですので、傘振りと「東京音頭」はパスしています。静かに応援しています。フィリップ・マーロウが神宮の外野席で傘振りしますか? ジェイ・ギャツビーが緑色の灯火を見つめながら東京音頭を歌いますか?
『村上さんのところ コンプリート版』より
また座席を選びに関して、読者からの質問で下記のように答えています。
僕はあちこちで見ています。でもネット裏で見ると、ボールの変化がよくわかって面白いですよね。次はそろそろスライダーだなと予想して、しっかりスライダーが来たりすると嬉しいものです。そういうのはなかなか外野ではわかりません。でも外野で観戦するのも楽しいものですが。
『村上さんのところ コンプリート版』より
僕はその日の気分によって、外野に行ったり内野に行ったりします。視点を変えるといいものですよ。僕は外野席で外野手のおしりを見るのがけっこう好きです。世の中にはいろんなおしりのかたちがあります。
『村上さんのところ コンプリート版』より
外野手のおしりを見る……っておもしろいですね!
外野手のおしりに関して、短編集『一人称単数』に収録されている『ヤクルト・スワローズ詩集』に『右翼手』というタイトルの詩を書いています。
というわけで、村上春樹さん神宮球場の外野席で神宮ハイボール(もしくはビール)を片手にもち、静かに座っている確率が高そうです。
ちなみに、神宮球場ではライトスタンド(ヤクルトスワローズ側)に『スワって応燕シート(立ち上って応援することが多い外野席で、座って観戦することが義務付けられている座席)』があります。
村上春樹さんは外野席が好き、なおかつ座って応援していそう(立って応援しているイメージがぜんぜんわかない)なので、『スワって応燕シート』をクールに選んでいるかもしれません。
神宮球場のヤクルトスワローズ戦の座席に関してはこちら。
「ヤクルト・スワローズ詩集」という短編小説もある
2020年7月に発売されました『一人称単数』という短編集のなかに、「ヤクルト・スワローズ詩集」という作品もあります。
ご自身の作品のタイトルに、球団名を使うくらいなので村上春樹さんはよほどスワローズのことがお好きなんでしょうね。
この「ヤクルト・スワローズ詩集」では、村上春樹さんがスワローズファンになったきっかけ、その当時の神宮球場の雰囲気などが美しい文章で書かれています。
ちなみに、「詩集」と書いてあるとおり、短い詩(のようなもの)も掲載されています。
外野手のお尻に関して書かれた詩はくすっと笑えるはずです。
この作品は最後に村上春樹さんが神宮球場で黒ビール売りの男の子から黒ビールを購入するシーンで終わります。
……というわけで、神宮球場は村上春樹さんにとって特別な場所のようですね。
村上春樹さんとつば九郎の関係
村上春樹さんはつば九郎ともちょっと関係があったので紹介しておきます。
2015年頃、読者からの質問に回答する企画「村上さんのところ」でやりとりがありました。
つば九郎が村上さんに、年俸が下がってしまった件を相談していました。
つば九郎のブログのように、ぜんぶひらがなで。
こちらのやりとり(つば九郎22年目のお悩み)は「村上さんのところ」に掲載されていますので、気になる方は読んでみてください。
電子書籍のコンプリート版のほうで確実に掲載されています。
村上さんもちゃんと回答していておもしろかったです。
村上春樹さんはどの時期の神宮球場が好きなのか
村上春樹さんが好んでいそうなのは、主に春(4月あたり)のデイゲームと真夏(8月あたり)のナイターだと思われます。
春(4月あたり)のデイゲームが好きそうな理由
村上春樹さんにとって、春はデビュー作品『風の歌を聴け』を書くきっかけになった特別な時期です。
風のない晴れた午後の神宮球場の外野席は少なくとも東半球ではいちばん気持が良く、そして心温まる外野席だった。
この文章は『村上春樹 雑文集』のなかの『デイヴ・ヒルトンのシーズン』のなかに書かれています。
村上春樹さんが小説を書こうと思い立った1978年4月1日のヤクルトスワローズ(当時はサンケイアトムズ)対広島カープの開幕戦(デイゲーム)でのことですね。
この日が小説家・村上春樹が誕生したきっかけとなっていますので、春の神宮球場のデイゲームは特別な時期なのだと思われます。
真夏(8月あたり)のナイターが好きそうな理由
村上春樹さんは夏がお好きです。
『村上さんのところ コンプリート版』のなかでこんな文章が書いてあります。
僕にとってのヤクルト・スワローズの魅力は、神宮球場の魅力と表裏一体になっています。だから定期的に球場に足を運ぶことが、大事な儀式になります。「惰性で応援している」というのはいけませんね。一家で一度、神宮球場に足を運んでください。楽しいですよ。夏には花火も打ち上げられますし。
『村上さんのところ コンプリート版』より
村上春樹さんは花火・野球・ビールを一度に楽しめる真夏の神宮ナイターがお好きみたいですね。
また、村上春樹さんはTシャツをたくさん集めていて、Tシャツに関しての本も出していますから夏が好きなはずです(デビュー作品の『風の歌を聴け』も8月のお話です)。
神宮花火ナイターとは……毎年夏休みに神宮球場のヤクルトスワローズ戦のナイターで5回裏に、各日300発の花火が打ち上げられるイベント。
神宮球場のナイターで花火が打ち上げられるのは、だいたい8月です。
2019年の神宮花火ナイター
神宮球場の夜空を彩る花火の下で、夏の夜風を受けながらビールを片手に野球観戦をする村上春樹さんの姿が目に浮かんできます。
まとめ
神宮球場でおこなわれるヤクルトスワローズ対横浜ベイスターズ戦、もしくは、ヤクルトスワローズ対中日ドラゴンズ戦のライト外野席あたりで野球観戦をすれば、村上春樹さんに偶然会える可能性が高そうです。
でも、もし神宮球場のヤクルトスワローズ戦で村上春樹さんを見かけたら、あなたはどうしますか?
僕だったらこっそり声をかけたいですが、結局は遠くから目に焼き付けるだけで終わってしまいそうです。
運良く本を持っていたら、サインをもらえたりできそうですが、話しかけられるか微妙です。
とりあえず、お気に入りの村上春樹本とペンを用意して神宮球場へ行きましょう。
人生何が起こるかわかりませんからね。
以上、神宮球場で村上春樹さんに会えるのかの考察でした。
まあ、村上春樹さんに会えなくても、神宮球場でのスワローズ戦の雰囲気は素敵ですので、気軽に神宮球場へ行ってみるのがおすすめです。
今回参考にしたのは『村上さんのところ コンプリート版』です。コンプリート版はkindleだけとなっています。紙の本では、今回参考にした回答が掲載されているか不明です。
・横浜ベイスターズ
・中日ドラゴンズ