『ダンス・ダンス・ダンス』ヒロイン・ユミヨシさんの悲しげなセリフ4選(村上春樹)

『ダンス・ダンス・ダンス』ユミヨシさんの名言
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『ダンス・ダンス・ダンス』は小説家・村上春樹さんの6作品目の長編小説。

1987年頃に村上さんがヨーロッパに滞在していた頃に執筆した作品です。

こちらの『ダンス・ダンス・ダンス』は『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』シリーズの最後を締めくくる作品。

『ダンス・ダンス・ダンス』では魅力的な登場人物が数多く登場しますが、その中でもヒロインのユミヨシさんは人気のキャラクターです。

この記事では、ヒロインのユミヨシさんに関しての特徴・名言等をまとめた記事です。

『ダンス・ダンス・ダンス』ヒロイン・ユミヨシさんとは

ユミヨシさんは主人公の『僕』が札幌で泊まったドルフィンホテルで働いている23歳の女性です。

メガネかけており、メガネのブリッジ部分をよく触っています。

そして、緊張しやすいタイプでやや神経症的。

『僕』はユミヨシさんのことを「まるでホテルのあるべき姿を具現化したホテルの精」と表現しています。

ちなみに下の名前は作中では出てきません。

苗字の「ユミヨシ」のみで登場します。

この「ユミヨシ」という珍しい名前ですが、海外の名作小説・トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』に出てくるある登場人物と関係あるようなのです。

『ティファニーで朝食を』では、日本人カメラマンとして『ユニオシ氏』というキャラクターが出てきます。

村上春樹さんいわく、『ダンス・ダンス・ダンス』のユミヨシさんは『ティファニーで朝食を』のユニオシ氏の親戚とのことです。

『ダンス・ダンス・ダンス』ヒロイン・ユミヨシさんの名言4選

でも何かが留まると、怖いような気がするの。どうしてかしら?  臆病なのかしら?  みんながやってきて、そして去っていくの。でもそれでほっとするの。変よね、そんなのって。普通の女の子ってそんな風には思わないでしょう?  普通の女の子って何か確かな物を求めているものなのよ。違う?  でも私はそうじゃない。どうしてだろう?  わからないわ

『ダンス・ダンス・ダンス』

→ホテルで働くことが好きだというユミヨシさん。主人公の『僕』になぜ好きなのかを問われて、ホテルは誰かが来て、泊まり、去っていく……そういう感覚が好きなのだといいます。

そんな彼女のことを主人公の『僕』は変じゃないよ、と慰めてあげるのです。

そうは見えないかもしれないけれど、私だっていろんなことで傷ついたのよ、ずいぶん」と彼女は小さな声で言った。「それでいろいろあって結局東京のホテルも辞めちゃったの。傷ついたの。辛かったし。私ってある種のことが上手く人並みに処理できないの

『ダンス・ダンス・ダンス』

→ユミヨシさんは23歳の女の子ですから、いろいろなことで悩んでいます。人並みに処理できないもどかしさを感じている人はきっとユミヨシさんに共感できるかもしれません。

ねえ、私はとても平凡でありきたりの人間なのよ。人と変わってるのは名前だけ。あとは何もないの。ただこうやってホテルのカウンターで毎日毎日働いて人生を無駄に磨り減らしていくだけ。もう私になんか電話しないで。私、長距離電話料金に値するような人間じゃないのよ


『ダンス・ダンス・ダンス』

→主人公の『僕』がユミヨシさんへ電話したときのセリフです。主人公の『僕』以外で、ユミヨシさんは作中でホテルの16階の暗闇に迷い込んでしまう唯一の人物です。そんな暗闇の影響を受けてか、ユミヨシさんは精神的に不安定です。

自分が平凡でありきたりな人間・・・という彼女の言葉には多くの人が共感できるのではないでしょうか。

先のことは誰にもわからない。今はすごく素敵よ。すごく最高に素敵


『ダンス・ダンス・ダンス』

→物語の終盤。主人公の『僕』とユミヨシさんは結ばれます。

不安定な世界を生きるふたりは、一緒に生活して生きていくことを決めます。

『風の歌を聴け』から読んでいる人にとっては、『僕』がやっと落ち着ける場所を見つけてくれたことに安堵できる場面です。

ユミヨシさんは『僕』の孤独を癒せる女性で、『僕』はユミヨシさんがうまく言い表せない心情をぴたりと表現してあげられる人間なのです。

『ダンス・ダンス・ダンス』をオーディオブックで聞くには

最近、オーディオブックが新しい読書法として流行っていますよね。

『ダンス・ダンス・ダンス』についても、どこかで聞けるか調べてみました。

どうやら現在(2022年8月時点)、『ダンス・ダンス・ダンス』は、オーディオブックで公式に作品がないので聞けません。

【代案】kindle版の『ダンス・ダンス・ダンス』を購入し、スマホの読み上げ機能を使う

代案としては、kindleで『ダンス・ダンス・ダンス』を購入して読み上げ機能を使えば、若干たどたどしくはあるのですが、自作の朗読音源ができあがります。

自分はこの案で『ダンス・ダンス・ダンス』を聴いているのですが、じゅうぶん聞けます。

『ダンス・ダンス・ダンス』以外の作品ならオーディオブックがある(一部だけ)

現在、Amazonのオーディブルで村上春樹作品の一部がオーディオブックとして登場しています(2022年8月下旬時点)。

オーディオブックになっているのは、下記の作品です。

・ねじまき鳥クロニクル(1,2,3部)

・東京奇譚集

・螢・納屋を焼く・その他の短編

・神の子どもたちはみな踊る

・職業としての小説家

村上さんは何度も書き直しをすることで有名です。

あと書き直しの際に、”耳”を使って音の響きを確認しながら書き直ししているみたいです。

だから、村上春樹作品いちばん楽しめる方法は、もしかしたらオーディオブックなのかもしれません。

Amazonのオーディブルで過去の村上春樹作品を耳で楽しむのも良いですよ。

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まとめ

『ダンス・ダンス・ダンス』のラストは、『風の歌を聴け』からはじまる暗い雰囲気を追い払うシンプルなセリフで終わります。

ユミヨシさんは『ダンス・ダンス・ダンス』にしか登場しませんが、登場のたびに主人公の『僕』と軽妙な会話を展開するユニークなキャラクターです。

『ダンス・ダンス・ダンス』は東京・札幌・ハワイと移動の多い作品です。

読めばちょっとした旅行気分も味わえるのも魅力のひとつ。

今回紹介したセリフ以外にも、ユミヨシさんの名セリフはいくつかありますので、『ダンス・ダンス・ダンス』を未読の方はぜひとも読んでみてください。

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