先日、発酵食品を自分で作りました。
何を作ったのかというと、ザワークラウトです。
ザワークラウトとはドイツの伝統的な発酵食品で、『酸っぱいキャベツ』という意味です。
日本的には、『乳酸キャベツ』なんて言われているみたいです。
発酵食品について自分はこれまでこのように思っていました。
自分で発酵食品なんて作れるわけがない……。
作るのは難しそうだし、どうせ腐らせるのがオチだ……。
……と思っていたのですが、やり方を本やネット情報やYouTubeでいろいろと調べて試した結果、ちゃんとうまくいきました!
今回の記事では、はじめてのザワークラウト作りに成功した体験の紹介・作る際の注意点等をまとめました。
もくじ(各リンクから移動できます)
ザワークラウトの材料・道具・作り方まとめ
【今回の材料】
・キャベツ……500g(今回は半玉ぶんを使用しました)
・塩……10g(キャベツの重力の2%)
・ローリエ……1枚(なくてもOKだが、あると良い)
・クミンシード……適量(なくても良い。クミンではなく、キャラウェイシードでもOK)
【必要な道具】
・キャベツを入れる瓶
・煮沸用鍋
・ボウル
・包丁
・まな板
・すりこぎ
・計測器(塩、キャベツの量を測る用)
・ビニール手袋(キャベツを揉む際に直接手でやりたくない人向け)
【作り方】
1.瓶を煮沸する。包丁やまな板、ボウルも軽く熱湯をかける。
2.キャベツを千切りにする(キャベツの外側の綺麗な葉とキャベツの芯は”5”で使うので残しておく)
3.キャベツの重量の2%の塩を刻んだキャベツにかけて、汁が出るまでもみ込む。
4.煮沸した瓶にキャベツを詰め込む。ローリエやクミンシードはこのタイミングで入れる。キャベツ全体が汁に浸かるようにするように詰め込む。
5.残しておいた葉と芯を使い、重石のようになるように瓶の上のほうに詰め込む。瓶のフタを閉じる際に中のキャベツを押さえつけるようにしながら芯を固定しておく。
6.20度から25度くらいの常温で1週間くらい放置。酸っぱさが出て完成したら冷蔵庫で保存。冷蔵庫では1ヶ月くらいは食べられるようです。
【ザワークラウト】乳酸菌の発酵を成功させるためのポイント(冬・12月)
今回、ザワークラウトを作るにあたり、キャベツに付着する乳酸菌の発酵が成功したポイントは下記の4点だったかなと思います。
1つずつ説明します。
瓶や道具の煮沸消毒
キャベツに付着する乳酸菌の発酵の力を最大限に引き出すために、瓶や道具類の雑菌は極力排除すると良いです。
耐熱ガラスの容器であれば、熱湯をかけるくらいの消毒で問題ないでしょう。
耐熱容器がなく、100均などの普通の瓶であれば、鍋に常温の水を入れた段階から瓶も一緒に入れて沸騰させていくほうが良いです。
沸騰した状態の鍋に普通の瓶を入れると割れる可能性がありますので。
キャベツ本体は洗わない
普段キャベツを料理に使う際は入念に洗っている人も多いかもしれませんが、ザワークラウト作りにおいてはキャベツを洗うのは避けたほうが良いです。
なぜなら、キャベツに付着する乳酸菌の力により、ザワークラウトは完成するからです。
水で洗うことで葉の表面に付着した乳酸菌が落ちてしまう可能性があります。
ですので、今回はキャベツを洗わず、外側の汚れた葉だけを数枚だけ取り除いただけです。
ただし、外側の葉(重石に使ったところ)だけは軽く洗い、キッチンペーパー等で水気をとりました。
瓶の中のキャベツがしっかりと汁に浸かるようにする
発酵過程において、キャベツが空気に触れると発酵が進まないようです。
なので、もみ込んだキャベツを瓶に詰める際、出てきた汁にキャベツ全体が浸るような形にしました。
揉み込んだ際に出てくる汁が少ない場合は、塩水(濃度2%)を追加するとよいでしょう。
室内の気温は20度から25度あたり
今回はじめてザワークラウトを作った季節は冬でした。
外の最高気温は10度から13度くらいです。
室温は22度くらいでした。
発酵は20度から25度あたりでいちばん進むらしいので、部屋の中の日が直接当たらない場所に置いておきました。
今回は室温22度くらいで7日間放置し、ザワークラウトが完成しました。
夏場は部屋のなかでも30度近くなりますし、ザワークラウトをはじめて作るのであれば冬が最適かもしれません。
ザワークラウトの発酵過程の写真まとめ
今回、キャベツを瓶に詰めてからの経過を1日ごとに撮影していました。
日によっては撮影の角度が違ったり、見えづらかったりしますが、変化の様子をご覧ください。
0日目
今回は家にあった500ミリの瓶と250ミリの瓶を煮沸して、半玉分(500gくらい)のキャベツを分けて詰め込みました。
1日目
どちらの瓶も目立った変化はなしです。
2日目
大きい瓶のほうは水位が少し上がってました。小さい瓶のほうも少しだけ上がっています。
3日目
どちらの瓶にも液中に気泡がちらほら見え始めました。
発酵が進んでいる証拠です。
ここでそれぞれの瓶のフタを1回ゆるめて中のガスを外に逃しました。
大きい瓶のほうはさらに水位が上がっています。
4日目
どちらの瓶も気泡がしっかりあります。
発酵がうまくいっているようです。
大きい瓶のほうは水位がどんどん上がっています。
瓶の容量は余裕を持たせておいてよかったです。
5日目
どちらのキャベツも緑色が抜けて、少し黄色?白っぽく?なってきました。
これは発酵がうまくいっている色のようです。
6日目(最終日)
最終的には中の汁があふれることもなく、異臭を瓶の外に放つことはなく、発酵が完了したようです。
約1週間、常温22度で放置しました。
開封した瞬間は青臭さみたいなものを感じました。
一瞬失敗しているのかな、と心配しましたが、試食してみると味のほうは適度に酸っぱさがあり、ちゃんとザワークラウトでした。
重石に使っていた芯と外の歯は捨てました。
ちゃんと完成してよかったです。
下記の左側が今回作ったザワークラウト(大きな瓶から取り出す)。
下記の右側が市販のザワークラウト(ドイツのキューネ社製)です。
瓶の中のキャベツが発酵しているか見極めるポイント
常温で室内に放置してキャベツが発酵しているか見極める際、見た目で判断できるポイントは下記です。
1.瓶の中にぎっしりと詰め込まれたキャベツの隙間に気泡がある
2.キャベツの汁の水位が最初に比べて増している
常温で放置してから2〜4日で、中に気泡がちらほら見られてきました。
そして、中の水位も上がってきました。
あとは、キャベツの色が白、やや黄色っぽくなると発酵している証拠でした。
これらが見た目で判断できる点です。
はじめてザワークラウトを作る際は、とりあえず1日ごとに写真を撮っておくのがおすすめです。
1日ごとの変化がわかりますし、自然とのかかわりが少ない生活をしている人にとっては、キャベツの乳酸菌の発酵観察で自然とのつながりを感じることもできます。
乳酸菌を育てている実感を得ることで、不思議にメンタルもおだやかになったように感じました(これは個人差があるかも)。
【ザワークラウト】はじめて作る際にやってよかった点。こうすればよかった点。
瓶の容量はキャベツを詰めたときにゆとりができるくらいのもので
今回キャベツ半分(500gくらい)を使い、家にあった瓶で作りました。
小瓶と大瓶、それぞれに詰めていったのですが、キャベツを詰める際にぎっしり詰め込まないようにしました。
なぜかというと、発酵する過程で中のキャベツのかさ・水位が増してくるからです。
例えば1リットルの瓶にキャベツ1キロ分(1玉)を瓶の最上部ぎりぎりまで詰めたとしたら、発酵がうまくいったときには瓶の中の汁が外にあふれてしまう可能性が高いです。
瓶に詰める際の注意点は、キャベツのかさと水位が増すことを見越してキャベツの量を瓶の6〜7割の位置にとどめておくことです。
キャベツを詰めた瓶をトレーの上で保管しておく(念のために)
詰めるキャベツの量を瓶の6〜7割くらいにしていたため、あふれる心配はないとは思っていたのですが、念のために瓶の下にトレーを置いておきました。
不在時に、キャベツの汁があふれだして部屋がびちゃびちゃになっていたら、2度とザワークラウトを作りたくなくなるような気がしたので……念のために。
常温保存を開始してから3日後くらいに1回だけ瓶のフタをゆるめて中のガスを逃す
瓶の中のキャベツの乳酸菌の発酵が進んでいくと、炭酸ガスが発生してきます。
そのガスによって瓶のフタが少し膨らんできます。
瓶が爆発することはない……とは思うのですが、仕込んでから3日目くらいに1回だけ瓶のフタをゆるめて中のガスを逃してあげました。
作る際、口の広い瓶を使ったほうがよかった
もみ込んだキャベツを瓶に詰める作業をするとき、今回の瓶では口が狭く、入れるのに時間と手間がかかりました。
口が狭いとキャベツを瓶の中に入れにくく、瓶の外側にこぼれたりします。
ザワークラウト作りでは口の広い瓶があると詰め込む作業が楽だと思います。
ザワークラウトづくりにおいて、おすすめの瓶を発見しました。
iwakiの1.45Lの瓶です。
キャベツ1玉分を楽々ザワークラウトにできます。
くわしくは下記の記事へ。
→【ザワークラウトづくりにおすすめの容器(瓶)】口が広く、キャベツ1玉が余裕で入るものがベスト
ザワークラウトを作るにあたって参考にした本
今回ザワークラウトを作るにあたり、参考にした本を2冊紹介しておきます。
サンダー・キャッツの発酵教室
アメリカで発酵文化を築き上げたサンダー・キャッツ氏の下記の言葉がいちばん印象的です。
実験を恐れず、発酵を楽しもう。
『サンダー・キャッツの発酵教室』より
たしかに今回ザワークラウトを作るにあたり、仕込んでから完成までを見守る作業は料理というより、むしろ実験のような感覚でした。
ザワークラウト以外の発酵食品についても紹介されており、発酵についてのノウハウを知れる一冊です。
発酵来福レシピ 90のおいしい料理と暮らしの知恵
著者のおのみささんは、『発酵来福』について下記のように紹介しています。
例えば、キャベツと塩を混ぜておくだけで、乳酸菌が増えて酸味が出てザワークラウトが完成する。それを、おいしく食べると乳酸菌が腸内環境を整えてくれる。それにより、肌がきれいになる。気持ちも明るくなる。ほら、ね? 100円のキャベツと塩を混ぜて発酵させるだけで、このような福の連鎖が起こるのです。
『発酵来福レシピ 90のおいしい料理と暮らしの知恵』より
ザワークラウト以外にも春夏秋冬に役立つ発酵レシピも紹介されています。
発酵食を生活にいろいろと取り入れれば、何かいいことがあるかもしれませんね。
ザワークラウトはまずいという感想を持っている人向けの対策
調べてみると、ザワークラウトはまずい!みたいな意見もちらほら見かけます。
たしかに純粋にキャベツだけを発酵させると酸っぱさだけが目立って、食べ慣れていない人からするとまずいと感じてしまうかもしれません。
自分も最初はそうでした。
作り続ける過程で下記の対策をして”おいしい!”と感じるようになりました。
・スパイス入れる(上記で紹介済みのローリエやクミン・キャラウェイシードなど)
・たまねぎやにんにくを入れる
たまねぎやニンニクを入れたザワークラウトは酸っぱさ以外に味に深みが出て、食べ進めやすくなります。
ニンニクは匂いとかが気になり、入れたくない人もいるかもしれません。
なので、せめてたまねぎだけはキャベツと一緒に揉み込んで発酵させてみてください。
うまみが増します。
1年以上、ザワークラウトづくりをしてきて作り方を更新しました(2023年2月時点)
上記で紹介したザワークラウトづくりは作り方のベースですが、1年以上つくり続けてきて、作り方が少し変わりました。
キャベツの芯と外の葉で蓋をするのをやめて、容器に入るサイズの小皿と小型の瓶を組み合わせて、中のキャベツが浮かび上がってこないようにしました。
キャベツの芯で蓋をしていたときは、芯が途中で変色したりしてなんだか嫌だったので、変更しました。
この最新のやり方ですと、透明な小瓶におさえつけられた小皿が下のキャベツ全体をおさえつけて、発酵時のキャベツの上昇を防ぎ、汁だけが上昇するようになりました。
そのため、キャベツが常に汁につかるようになり、100%発酵するようになりました!
発酵のポイントは、どんな形でもキャベツが常に汁に浸かるようにしておくことです!
自分は下の容器のおかげでザワークラウトづくりを1年以上継続できています。この瓶、おすすめです。
まとめ
ザワークラウトはシンプルかつ簡単に作れる発酵食品です。
まさかここまで簡単にできるとは思いませんでした。
基本的にはキャベツと塩のみ、ですからね。
キャベツの葉に付いている乳酸菌たちがまさかここまで活躍して、おいしいザワークラウトを作ってくれたことに対して驚いたのと同時に感謝の気持ちも湧いてきました。
地球の一部である土の中で育ったキャベツの乳酸菌がちゃんと発酵してザワークラウトになり、われわれ人間の腸に住み着いて腸内環境を整えてくれるなんて。
自家製ザワークラウトを通じて、地球と人類のつながりも感じられました。
ちなみに今回は発酵食品を作れたことで、自信のようなものも少し芽生えました。
自己肯定感アップにもザワークラウトは貢献してくれるようです。
ザワークラウトを作る過程で地球とのつながりを感じ、食べることで健康的にもなれる。
シンプルで安上がりな発酵食品によって、福がたくさんやって来そうです。
ザワークラウトは最低限のコツさえつかめば、誰にでも作れるシンプルなパワーフードです。
ぜひ時間がある人は作ってみてください。
ザワークラウトの味が想像つかない人も中にはいるかと思うので、いきなり作る前に市販のザワークラウトを買って食べてみるのもいいかもしれません。
→【ザワークラウト生活のメリット・効果】ひとり暮らしの人におすすめ。栄養価が高く食べられる観葉植物だ。
→【自家製ザワークラウトを1ヶ月食べ続けた感想】生きた乳酸菌でおならの匂いと便秘がほぼ改善
→【ザワークラウトづくりにおすすめの容器(瓶)】口が広く、キャベツ1玉が余裕で入るものがベスト
・瓶や道具の煮沸消毒
・キャベツを洗わない
・瓶の中のキャベツがしっかりと汁に浸かるようにする
・室内の気温は20度から25度あたり