なぜ映画を倍速視聴したくなるのか。サブスク鑑賞は記憶に残らないからやめる

倍速視聴
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最近、倍速視聴という行為がはやっていますね。

倍速視聴とは、スマホやタブレットなどで動画を見るときに、等速ではないスピード(1.25倍、1.5倍など)で素早く見る行為。

ネットニュースで指摘される前から、Youtubeの教育系の動画でなんとなく自分もやっていました。

「倍速試聴」の現状とは。コンテンツを享受する前に、知っておきたいこと

忙しいときなどは効率的に勉強できるから便利ですよね。

この記事では、なぜスマホで動画や映画を見るとなぜ倍速視聴をしたくなるのかについてあらためてまとめてみました。

映画やドラマを倍速視聴するのはしかたない環境になっている

最近の若い人たちは、映画やドラムが、コミュニケーションのためのコンテンツとなっているようです。

「あれ見た?」系の世間話についていくために、ありとあらゆる映画やドラマを追いかけないといけません。

純粋に作品を楽しみたいというよりも、仲間外れにされないようにするために、それらを視聴するとのこと(下記で紹介の『映画を早送りで観る人たち~』に書いてあった)。

友達との会話についていくためには、そのままの速度で視聴していては間に合いません。

それにあらゆるジャンルの作品を広く視聴しないといけません。

そのために、倍速視聴したり、ネタバレサイトで先にオチを見てから、見たいところだけを見たりするのも仕方ないのかなと思います。

現代は時間がないと感じる

現代って娯楽が多すぎませんか。

動画があって、まんががあって、ありとあらゆる旅行やおでかけスポットがあって、おしゃれなスイーツがあって、日々の仕事があって、人間関係の維持にも時間を費やさないといけません。

最近生きていて感じるのは、なんだか時間が常にないと感じること。

何かをするときに、「効率よく」しないことは悪なんじゃないかと、なぜか感じてしまいます。

映画やドラマの世界の流れは、現実のこちら側のスピードと違うため、倍速で視聴してしまう気もします。

昔は(動画サブスクが出る前)、映画は映画館で見たり、テレビの放送で見たり、TSUTAYAなどでレンタルして見るしかありませんでした(倍速なんてできない)。

それはそれでじゅうぶんに楽しめた気がします。

スマホでAmazonプライムで映画を見たことあるけど、ぜんぜん覚えていない

以前(3年くらい前)、Amazonプライムで何か映画をたくさん見たのですが、なんの映画を見たのかまったく覚えていないんですよね。

なぜだか。

見ている作品を一時停止したり、見たいところからみたり、というこちらの都合で映画を見ていたことによって、長期的な記憶に残っていないのかもしれません。

おそらく倍速で自由自在に映画やドラマを見たりすると、短期的には、効率よく映画のメインの内容だけは摂取できるかもしれません。

ただ、長期的に考えると、おそらく記憶の中から消え去ってしまうのではないかなと思います。

では、これまでの人生で見た映画のなかで、どんな映画を覚えているんだというと、わりと非効率な方法で見たものなんですよね。

非効率な方法とは、映画館で見た映画を見ること、です。

あの作品は、映画館にわざわざ足を運んで、等速で2時間かけて映画を見た……という記憶はちゃんと残っています(作品の細部までは覚えていない)。

映画館で映画を見ると、長期的には、あの映画を見たという記憶が残るのだと思います。

スマホでサブスクで映画を見ると、長期的に残るのは、たぶん何もないかもしれません。

きっと自分のように、その映画を見たことすら忘れてしまう人も出てくるかもしれません。

その当時の自分は、映画見放題だ!と歓喜しながら、自由自在に映画の時間を飛ばしたり、カットしながら見ることで、効率よく見れたような気がしていました。

しかし、今となってはそれはちょっと間違いだったなと感じています。

今後はスマホで映画やドラマの倍速視聴はやめる

最近は、スマホで映画を見るのもやめました。

サブスク等はいまは契約していません。

何十万作品が視聴できるといっても、すべてを見れません。

どれも中途半端な感じで見て、時間だけがつぶれて、長期的には記憶には残らないという気がしたため、です。

では、サブスクで見るのはやめて何をしたのか。

どこかで偶然やっている映画だけを見ることにしました(海外ドラマは長すぎるので基本的には見ない。まわりとの会話についていかないでもいいと決断)。

たとえば。

・金曜ロードショーでたまたま放送されている映画を見る(録画したりもするけど)

・その時期にたまたまやっている、見たいと思える映画をわざわざ映画館に見に行く

映画とは、これくらいの距離感がちょうどいい気がします。

自分が大切だと感じるのは、この”偶然性”です。

サブスク系だと、どうしても膨大な作品の中からこちらが選ばないといけません。

この主体的に選ぶ作業がまず疲れます。

上記の2つの見方だと、目の前に偶然現れた映画(映画館なら10種類から選べばいい)を選ぶだけなので、疲れません。

それにおそらく、長期的な記憶としてこの非効率な見方で見ることで、わりと記憶に定着するのではないかと思います。

>【ひとり映画デビューガイド】おすすめ座席と注意点まとめ。緊張も恥ずかしさは不要

まとめ

倍速視聴でスマホで見た映画はぜんぜん覚えていない。

見た映画の内容以前に、何を見たのかすら覚えていない。

自分のようなことにならないために、今後は多くの人が映画やドラマとの関係性をもういちど考える時期に来たんじゃないかな、と感じます。

映画館で強制的に1倍速で見たりするのは、いまとなっては不便かもしれません。

でも、なんだかんだで映画は映画館で見るためのものなんだな、と再確認できました。サブスク映画という存在が生まれたことによって。

あの映画のストーリーはすべて完璧には思い出せない……ただ、どこかの映画館で鑑賞したことだけは覚えている。

この感想が、自分としては理想です。

映画やドラマは本来、それ自体を個人的に鑑賞して個人的に楽しむためのもので、誰かとの会話の調子をあわせるために、強制的に鑑賞しないといけないものではないはずです。

誰かにあわせて映画を見ていたら、貴重な時間がどんどん奪われてしまうような気がしてならないです。

『映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』という本で、この倍速視聴について、もっとくわしく掘り下げられていますので、ぜひ読んでみてください。